ビジョン
急激な進化を遂げるAIとロボティクスの世界は、近い将来、私たちの社会を大きく変えるとされています。しかし、これらの変革はどのような技術が可能にするのか?またその技術進化のスピードはどの程度のものか、を冷静に分析することが重要です。現在、多くの投資がなされ、多くの研究者や起業家、あるいは大企業や国家をあげた活動で進められている状況では、課題解決は様々な方法が試されるためになんらかの進展は継続的に起きていく、と予想されます。このようなAIとロボティクスが起こす社会的なメリットが実証されていく一方で、それにより引き起こされるリスクも注意が必要です。
そういったAI・ロボティクスのリスクを考慮する動きは2016年ごろから”AI倫理”あるいは”Responsible AI”という形で検討され、現在のEU AI法に代表される規制化に進んでいます。これらの規制はEU, US,あるいは日本やアジアなどで異なる強さで決定しつつあり、企業活動をする組織はそれに対する対応も必須となります。
MF AI-RoboticsはそのAIとRoboticsの高度な技術専門性と実用化の経験、また、Globalなトップ企業でのAIガバナンスをゼロから立ち上げた経験を活かし、安全なAI・ロボティクス技術開発を支援し、よりよい社会の実現に貢献することを目的として活動していきます。
代表のプロフィール
代表である藤田雅博は、1981年に早稲田大学理工学部電子通信科を卒業し、ソニーに入社、技術研究所に配属される。大学時代のデジタル信号処理の専門性を活かし、GPS受信機の全デジタル化を実現し、LSI化、そのカーナビゲーションシステムの商品化に貢献した。1988年、会社の公募留学制度によりUniversity of California IrvineにてM.S.E.E.を取得、テーマはニューラルネットワークで、特にボトムアップ信号とトップダウン信号の融合と、自己組織化を用いたノイズに強いパターン認識器を研究した。
ソニーに帰社後、知能ロボティクスの研究をスタート、1993年よりロボットエンターテイメントプロジェクトをスタートし、技術リーダーとして1999年に世界初の家庭用自律型4脚ロボットAIBOを商品化した。引き続き小型ヒューマノイドプロジェクトQRIOのインテリジェンスパートのリーダーとして、画像認識、音声認識、対話処理、短期・長期記憶機能、ナビゲーション機能などを実現し、それらを統合する行動制御アーキテクチャを開発した。QRIOは商品化直前で中止となったが、当時のAI・Roboticsの最先端の技術を集結し、高い運動能力、ダンスなどのエンターテイメント、人や周囲の環境の認識と記憶など実現した。
その後、エンターテイメントロボットとして、その行動を細かくデザインし、記述することの限界を感じ、自律発達する知能の研究をスタート。新しく設立した(株)ソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所において、ボードメンバーとして技術開発をリードした。インテリジェンス・ダイナミクスと名付けたその研究開発は世界トップのAI、ロボティクス、脳科学、認知科学などの研究者と交流することで、新しい知能ロボティクスの方向を示した。
並行してAIBO, QRIOで開発した顔画像認識や物体認識技術と自己位置同定技術などをソニーの商品に活用し、顔オートフォーカスカメラなどのインテリジェントCE機器の商品化に貢献した。
2007年、ソニー・コーポレートの研究所の一つであるシステム技術研究所の所長に就任し、日本、中国、US, EUにある研究部をまとめ、AI・ロボティクス技術、パーソナライズド推薦技術、無線通信技術、情報セキュリティ、ミリ波センシング、スーパーコンピュータによる物理シミュレーションなど戦略的なターゲットを置きながら技術的なマネジメントをおこなった。この時の経験は、その後の広い技術視野を持つことに活かされている。
2013年からはVPの立場で、新しくスーパーヒューマンを目指したロボティクスプロジェクトを立ち上げ、力制御を含むダイナミクス運動制御を基礎とした、不整地搬送を可能にする多脚ロボット、人の10倍の精度をもつ手術をモチーフとした超精密バイラテラル制御ロボティクスなどを開発した。
また2016年から始まったAI x Robotics復活活動により新しいaibo、ガストロノミーロボティクス、AI倫理活動などを立ち上げ、2020年の(株)Sony AIの設立に貢献した。
2024年、ソニーグループ(株)を退社、個人事業主としてMF AI-Robotics Laboratoryを立ち上げ現在の活動に至る。